飲食店の「魅力」について

Posted on 6月 3, 2017 in 本社

みなさん、こんばんハロー。

さて、無事に毎週ちゃんと続いているブログですが、テーマはコロコロ変えてお届けします。「次回は〜についてお話しします」などと書いておりますが、それは来週ということではありません。何週間かあとのことです。なぜならゴーストライターをたくさん抱えているからです。そこはまだまだショナイです。

では、第三回のテーマを発表します。じゃじゃん!
「飲食店の魅力って?なにそれ美味しいの?」です。

 

魅力ある飲食店。良い響きですね。我々の仕事にとって重要なこと、いえ、一番大切なことかもしれません。

ま、簡単に「魅力」と言いますが、その中身は複雑怪奇、魑魅魍魎です。
この「魅力とはなにか」という答えがわかりやすいものであれば、そもそも「魅力」という言葉は存在しません。「魅了する力」は実態がつかめないから「魅力」なのです。 おっと、少し哲学的な方向に進みかけました。やめましょう。

飲食店の魅力をお話しするには、まず「二つの価値」についてお話する必要があります。
それが、「本質的価値」「付加価値」です。

「本質的価値」とは、読んで字のごとく「そのモノ自体が持っている価値」です。
100円の野菜は100円の価値、500円の魚は500円の価値を持っています。それ以上でもそれ以下でもありません。
ではこの100円の野菜を300円でお客様に提供する、500円の魚を1500円で提供する、我々が毎日当たり前のように行なっているこの行為は一体なんでしょうか?詐欺ですか?犯罪ですか?
いいえ違いますよね。

おわかりのように、このプラスアルファ部分が「付加価値」なのです。
つまり我々はお客様に対して二つの「価値」を提供しているわけですね。
この「本質的価値+付加価値」もしくは「本質的価値×付加価値」こそが「飲食店の魅力」というわけです。
単純ですが、奥が深いのです。

簡単に「足し算」「掛け算」の符号を使っていますが、ここに飲食店の面白さ、難しさが潜んでいるのです。
ではこの二つの価値を和積した「飲食店の魅力」とはなにか。

ワタクシ的な考えですが、それは大きく分けると「モノ」と「サービス」だと思っています。

そして今日は「モノ」についてお話ししようと思います。

飲食店で「モノ」というと、料理やドリンクのことと考えて差し支えありませんね。するとこの場合、「本質的価値」は、仕入れた原料のことを指します。 そのため、本質的価値を高めるには、より良いものを仕入れるほかありません。
しかしこれはお店のレベル、客層、立地などでいろいろな制限を受けます。
サラリーマンが仕事帰りに一杯やるような立ち飲み屋さんで、100グラム8,000円もする神戸牛を仕入れて提供するわけにはいきませんよね。 逆も然り、格式高い料亭で中国産の鶏肉を出すこともできません(できないことはないですがね、やってた某料亭もありましたしね、すぐ話が逸れますね、もどりましょうね)。

つまり、本質的価値にはそのお店の限界があります。適材適所、いや適材適所適原料なのです。

ではこの限界をどう突破するか。
これがつまり「ウデ=付加価値」ということです。

先日、我が社の「ウデのたつ料理人」が、いつも使う朝引き鶏の代わりに腐りかけのブロイラーで、鶫の看板メニューである炭火焼を作りました。ここだけの話ですが、正直言って見分け(味分け)がつきませんでした。絶品でしたよ。
これは、ブロイラーという素人では普通にしか扱えない肉に「ウデ」という付加価値を掛け合わせて、「魅力」へと昇華しているのです。
もちろん、お店の信頼を損ねるといけませんので念を押して言いますが、これは実験であって実際にお客様へ提供しているわけではありません。ウデを試す実験です。
そしてこのウデという付加価値が朝引き鶏と掛け合わされれば、それはそれは魅力的な料理となるわけです。
(もちろん、これを提供する人や空間、タイミングなどそれらのサービスという要素も付加価値なのですが、このサービスについての付加価値は次回のお話とします。)


スクナビコナの極み牛タン焼もそうです。仕入れた時はただの肉塊。
ここに料理人のウデが下処理から焼きに至るまで丁寧かつふんだんに盛り込まれ、魅力ある逸品へと昇華されるのです。

ドリンクも同じことが言えますね。カシュカシュのジントニックなどまさにそれの最先端。
ジン、トニック、ライム。原価はあえて触れませんが、誰でも知っているこの原料だけのドリンクをわざわざ1,000円(そんなにしてなかったかな)も出して、お客様が「美味しい!」と言ってくれるのは、まさにウデが生みだす「魅力」なのでしょう。

もちろん先述の通り、それだけが付加価値ではありません。 提供する場所、タイミング、空間、雰囲気、接客、それらがもう一つの大切な要素、「サービス」なのです。

次回はこの「サービス」という魅力についてお話しするとともに、おもてなしの心、ホスピタリティについて掘り下げていこうと思います。

ご静聴、ありがとうございました。